僕が小学5年生の時、当時小学1年生の弟が体の不調で入院した時期がある。
1ヶ月近くだったと思うが、穏やかな家族生活が一変して、母は弟の付き添いで毎日病院に通うことになった。
母が不在の間、父が毎日の料理など僕の世話に奮闘することになる。
父は実家で自営業を営んでいた為、仕事も含めてバタバタして大変な様子は僕にも伝わってきた。それでも父は息子の僕が不安にならない様、一生懸命だった。
ある日曜日、父が「何か食べたいものあるか?」と聞いてきた。
僕は「オムライスが食べたい!」と答えた。
なぜオムライスだったのかは今となっては定かではないが、おそらく母が作ったオムライスの美味しさが頭の片隅にあり、咄嗟にリクエストしたのだろう。
父はなんとか僕にオムライスを食べさせようと外食を決断する。
普段は外食をしない父が(母の手料理が美味しいからだ!)、電話帳片手にオムライスを提供していそうな洋食屋さんに電話をかけまくった。
意外に近い場所にあることが分かり、父は安堵した。
そして僕は父が乗る自転車の後部座席に乗って父の腰につかまり、意気揚々と洋食屋さんに向かった。
「よぉし、オムライス食べさせてやるからな!」父の必死さが僕には嬉しかった。
その後に食べたオムライスの姿や味は全く記憶に無い。
ただ、父の腰につかまって自転車で向かっている時の前方の光景や、
その時に「待ってろよ!もうすぐ食べれるぞ!」と父に言われて嬉しくなったことははっきり覚えている。
「オムライスの思い出」