幼い頃から社会人にかけて、同級生や同期に対しては特別な感情をみんな抱くと思う。
苦労を共にし、同じ釜の飯を食うという仲間意識が特別な感情を生む。
僕が高校を卒業して社会人として就職したのは1990年のバブル景気の時代で、僕達はバブル世代と呼ばれる。
同期入社が30〜40人近くいて、歓迎会や催事イベントはとても華やかだった記憶がある。
僕は当初は工場系の勤務を希望したが、意に反して管理・事務系の部署に配属された。
同じ部署に配属されたのが、僕と同じ高卒が男女合わせて5名、大卒が男女合わせて3名で合計8名。
仲間意識もあったが仕事をしていく中で当然のように競争意識も湧いていく。
部署にもいろんな課があり、とりわけ若い先輩達がたくさん集まっている課は活気があって雰囲気が良かった。
そういう課に入れた同期を羨ましく感じた。僕はベテランの方が多い課に入り、そこで出遅れた気がした。希望する部署でもなく、入りたい課でもないところに入ってしまったことが劣等感を生んでしまった。
くすぶっていた僕だったが2年目になって課の移動があり、モチベーションを上げていく。
しばらくすると同期達は志半ばに少しずつ会社を辞めていった。寂しさは感じるが、いずれまた会う機会があるだろうと思っていた。
入社して6年後、辞めていった同期も含めて10人くらいで飲み会をやった。懐かしさも刺激も感じてとてもいい会だった。
帰り際に辞めていった高卒同期の女の子からタクシーで一緒に帰ろうと誘われた。嬉しかったが、僕は自分の所持金が無いことに気付かずタクシーに乗ってしまう。
タクシーの中で事情を話し、全額彼女に払わせ、がっかりさせてしまった。
実家住まいをしていたのだから、タクシーを僕の家の前で止めて両親にお金を借りることも出来ただろう。そういうことを思いつきもしなかった。
僕は社会人としても人間としても最低でまだまだ幼く、大人になりきれていなかった。
「大人になれない」