日常

「弱小チームの行方」

小学校の時に僕と弟はソフトボールクラブに参加していた。
町内ごとに住んでいる子供たちが参加して結成するクラブで、町内対抗で毎年大会が行われる。僕たちチームは万年最下位の弱小チームだった。
野球経験者がおらず、監督も町内会の担当のように決めているのだから、上位に入れるわけがない。
僕の父も監督をやったことがある。勝利に前向きだったが、いかんせん経験と技術が無い為結果はついてこなかった。
そんな中、僕たち町内に野球経験者でスナック経営をされている人が引っ越してきた。
僕の父はお酒好きであった為、すぐにその人と友達になり親友のようになっていった。
父がその人にソフトボールクラブの監督を打診した。快く受け入れてくれたそうだ。
その人は子供好きで、父が言うには性格もさっぱりしていて話すのが気持ち良かったという。
僕は既に小学校を卒業していて弟だけが参加していたのだが、新しくなったチームの技術は瞬く間に上がっていった。練習試合に勝つようになり、勝っていけばチームの雰囲気も向上する。そして、ついに大会では2位という成績まで駆け登っていった。

しかし、、突然その人はいなくなってしまった。
どうもスナックの経営が悪く、赤字を抱え、借金が膨らんだらしい。
そして、その人は家族で夜逃げをしてしまったのだ。
突然の出来事に父はとても落ち込んだ。悩みを聞いてあげられなかったことを悔やんだ。
今は取り壊されてしまっているが、いなくなってからもしばらくスナックの建物が残っていた。
あの頃、父がお酒を飲んで家に帰ってきて、その人と「あんな話をした」「こんな話をした」というのを母にとても上機嫌で話していたこと、
ソフトボールクラブの小学生みんなが、監督であるその人のもと、一緒に勝利を手にして生き生きとしていた様子を思い出す。
突然いなくなってしまったが、その後どうしていただろうか。
ソフトボールクラブに関しては、僕もその輪の中にいたかった。チームのみんなが羨ましかった。

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kazuhiro

静岡市 | 1971年生まれ | 個人ブログです。 日々の日常を更新します。 プロフィール画像は静岡市葵区「駿府城公園」から見上げた青空です。

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