日常

「きっかけは突然に」

小学校のときにクラスの花係を命じられた。
きっかけは僕がクラスの教室の花瓶を割ってしまったことからだ。
下校時、帰り際に起きた出来事で、僕は動揺しすぐに両親に相談した。
父親に「すぐに先生に謝りに行きなさい。花瓶は買ってきてあげるから、明日にでも持って行きな。」と言われ、
夕日も落ちた暗い中を小学校まで戻り、職員室にいた先生に謝った。
先生はニコニコしながら「気にするな。大丈夫だよ。」と言って許してくれた。
翌日、両親に買ってもらった花瓶を先生に手渡すと、両親に感謝に意を述べるとともに「お前、花係やれよ」と昨日と同じくニコニコしながら僕に言った。
先生にどういう意図があったのか、正直僕はあまりその気になれなかった。花係って、女の子がやる係だとばっかり思っていたからだ。
クラスでも凄く大人しくて目立たなかった僕は、余計にナヨナヨした感じに見られてしまうんじゃないかと思って少し憂鬱になった。
両親が買ってくれた花瓶は赤とオレンジを基調とした、ガラスで出来たとても綺麗なものだった。僕もこの花瓶を好きになった。
先生が新たに買ってきた花を生けることになり、僕は自然とそれに夢中になった。
この花瓶も花も綺麗に見せるにはどうしたらいいか。思考がそれだけに向いた。
友達は「○○○○(僕のあだ名)、男なんだからさぁ〜」と言い放ち、僕を呆れて見ていた。
僕はそれでも良かった。先生は夢中になれることを僕に与えてくれたのだ。
新たな物の見方、思考を得ることが出来るには、いろんなきっかけがあるものだと僕は分かった。

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kazuhiro

静岡市 | 1971年生まれ | 個人ブログです。 思い出や日々の日常を更新します。 プロフィール画像は静岡市葵区「駿府城公園」から見上げた青空です。

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